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障害者アートと美術活動 Part.11

 障害者アートバンク代表の戸原一男氏が、月刊「福祉」7月号に書評を発表しました。評するのは、仙台市知的障害者芸術文化協会が発行する「ピュア・ハーツ美術館」という画集です。連載7回目の「アートにおけるバリアフリー」にも共通するテーマですが、障害者の芸術活動について的確な指摘がなされていると思われるので、今回はこれをそのまま掲載することにします。発言内容は、すべて代表の責任ですので、悪しからず(笑)。とくに、知的障害者の芸術活動に携わっている方には、参考にしてしていただきたいと思います。

「ピュア・ハーツ美術館」
仙台市知的障害者芸術文化協会・編
2381円(税別)

本 近年、障害を持つ方が描くアートをエイブルアート(可能性のアート)として評価する動きが活発化している。財団法人たんぽぽの家の理事長でもある播磨康夫氏がそのムーヴメントの発祥者であり、1998年に長野で開かれたアートパラリンピックによってその名前は一般に広く知られるものとなった。そしてこうした動きは、現代美術が閉塞的状況にあるといわれる中でインディアンやイヌイットたちの原始美術活動をアウトサイダーアートとして見直しつつある海外の状況と酷似しているように思われる。どちらも、美術教育を受けたことのない作家たちが思いのままに作り上げた作品群を「魂の叫び」として再評価しており、生命の衰弱した現代空間に躍動感を与えるものとして彼らの芸術活動を最大限に讃えているのである。

 本書『ピュア・ハーツ美術館』は、そうしたエイブルアート運動の延長線上として、仙台市知的障害者芸術文化協会がおこなってきた活動をまとめた作品集である。平成八年から絵画、陶芸、書道などの作品発表の場としてピュア・ハーツアート展を開催してきているのだが、これまでのアート展で展示した作品はもちろんのこと、作家の紹介、シンポジウムの紹介等といった内容で構成されている。この中で一貫して語られていることは、知的ハンディキャップを持つ方々が社会参加を図る手法の一つとしての美術活動のあり方である。彼らの生の軌跡を表現するための手段として、美術活動の効果が認められる事例は、収録されているシンポジウムでも多く語られている。知的障害者の施設で芸術活動をおこなっているところには、格好の資料となる一冊に違いない。

 しかし、一つだけ疑問が残る。知的障害者の表現の場としての美術活動と、エイブルアートという新しい価値観の提案運動が根本的に異なるものであることを、果たして本書の読者たちは理解できるのであろうか、と。この本に掲載された作品群は、知的障害者たちが美術活動の結果として残したものであって、決してそれ以上のものではない。もしこれらを「健常者にはない純粋な世界」と呼び、「魂の芸術家による生の軌跡」と讃えるのであるならば、それはまやかしであることを一言申し上げなければならない。世の中に対して新しい芸術的価値観を提言するということ・・・・それは本物の才能をもって示すしかないと私は考える。そこに妥協は許されない。安易な称賛行為は、本当に才能ある障害者たちの価値をも不当にゆがめてしまうことになりかねないからである。

(とはら かずお・障害者アートバンク代表)
第4回ピュア・ハーツアート展
http://www.miyagi.coop.or.jp/sitemap/fukushi/haato/haato00.11/haato00.11.htm

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