障害者アートバンクの審査会が、年々、厳しくなっていきます。登録される作品の、質の高さを求める要求が以前より高くなっているのは事実です。
以前なら登録されているレベルの作品なのに、なぜ、とか、人気作家の作品に至っては、この作品がなぜ、というような事態も起こっています。審査会に対する疑問や質問が、ここのところ数多く寄せられるようになったのも、うなずけます。
そこで今回は、アートバンクの審査会に関わる者の一人として、最近の審査会の様子から、これからのアートバンクが目指すものを探っていこうと思います。
障害者アートバンクも設立されてから15年が経ち、今や400名近い作家の4000点近くもの作品をストックする堂々たる芸術ライブラリーに成長しました。
そして、ホームページを開設したことで、今までアートバンクを知らなかった人たちも知る機会が増え、応募してくれる方はもちろんのこと、新しいユーザーさんも増えています。
HPでアートバンクのことを知り、事務局へアクセスしてくる方々のほとんどは、作家の絵、そのものを気に入ってくださった方々が多いのです。
この絵を使いたい、そう思って連絡をしてくれるのです。
これは、「才能に障害はない」を合言葉に活動してきた障害者アートバンクとしては、とても光栄なことです。自分たちのやってきたことが間違いではないと、自信が持てたからです。
このところ福祉の現場ではさかんに、「エンパワメントの思想」ということが言われています。従来の福祉の考え方は、弱い立場の人を救済する、という慈善的な発想から生まれてきました。けれども、それではいつまでたっても弱い立場の人たちは与えられるだけの存在、救済する側とされる側、立場は常に同じ、変わることはありません。
それがほんとうに、立場の弱い人たちにとっていいことなのか?
エンパワメントの思想は、社会的弱者の人たちの中から生まれてきました。
守られるだけでは、自分では何もできなくなる。人間には、本来、ひとり一人にそれぞれの力があり、その力を発揮し、自分がどうしたいか、自分で決定していく力が持てるようにすることこそが大事なのではないか。エンパワメント、内なる力を引き出す、ということですね。
そういう意味において、まさに障害者アートバンクの考えは、このエンパワメントの思想そのものではないかと思うのです。
作家ひとり一人の才能を認める。その力を活かす。事務局と作家の間にあるのは、対等な関係であり、救済する側とされる側という関係ではありません。
だとしたら、事務局が求める作品への質は、当然のことと言えます。
作家の才能を信じているからこそ、といえるのです。
15年が経ち、作品の数が4000点を超えた今、これからの障害者アートバンクが求められるものは、今までにない新しい絵、より個性的な絵となっていくことでしょう。それができると私たちは信じています。そして、そうなってこそ、障害者アートバンクは、ユーザーにとって「どうしても使いたい絵」をストックした芸術ライブラリーとなるのです。
私たちが目指しているのは、そういうことです。 |