アートビリティの審査会において作品の審査をしていて、思うことがある。
「いい絵とは、何だろうか」「そもそも、アートとは何だろうか」と。
というのも、アートビリティの審査会というのは、鑑賞としてのアートの是非を評価するのではなく、メディアに使用可能な(商業利用が可能である)作品のセレクション作業にすぎないからだ。素晴らしいアートがメディアに使えるとは限らないし、アートとしての価値は低くてもユーザーから人気を呼びそうな作風の作品はたくさんある。
アートビリティの事業理念が障害者アーチストへの所得支援を第一としている以上、審査会の選考基準はあくまで市場理論に乗っ取った形で進行せざるを得ないのである。
本書「DNAパラダイス」には、27人の障害者アーチストの作品が掲載されているが、アートビリティの作品選考会においては、おそらくどれも合格とはならない作品に違いない。どの作品もイラストレーションというより明らかに「アート」であり、商業的に使用するにはあまりに作家の個性が勝ちすぎている作品ばかりだからだ。しかし、そのことは逆に、本書のアート的価値を高めることでもあり、話はややこしい。単純にいえば、アートビリティがいかにこうした純粋アートの作品群を排斥しているかという反省になるのかもしれない。
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