題字「星」143

世をはかなんだ人がおりました。多くの人が多少は持っている疑問をこの人は誇大に考えすぎるのでした。

じりつ神経失調症とか神経症とかいわれ、その内に聞いてもわからないような難しい病名までもらってしまったのでした。「なんの為生きているのだろう。生きていてもなんの役にもたてない人の迷惑になるばかりだ」この人の口癖でした。

私は思わず言いました。それを聞いたら、ゲジゲジさんもオケラさんも怒りますよ。あの美しい蝶さんも役にたとうと思って生きていません。生きぬくこと尊し、役にたたない多くの生き物の姿や羽音にどれだけ心なごむかしれない私の人生でした。

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