題字「星」267

後ろで誰かが呼んでいるのです。 誰かがおいかけてくるのです。 いつもの子供のグループとは違います。 多数の大人の人達がドタバタ砂埃をたてて追いかけてくるのです。
私は電動車椅子を止めて後ろをふりむきました。
人々もなにごとだと足をとめて好奇の眼を光らせます。 「オー、哲ちゃん逞しくなったネー、オー、マキちゃん美人になったネー、オー、良っちゃん成人したねー」近づいた人々は、幼顔をのこしたなかよし学級の過去の子供達でした。 私は長年なかよしの子供たちに話しかけ、いつも友達で過ごしてきました。
年齢はまちまちでも立派に成長した彼らは授産所から集団で帰途につく途中だったのです。
「先生ずいぶ老けたネー」「ウン環境から逃げられない人生だからネー 闘っているからネー」「前と変わらないんだネ」「ウンでも皆が変わったからすごくうれしいよ とってもうれしいよ。」
私の後姿をつぶさに見つづけて子供時代を過ごしてきた彼らでした。「こんど皆の似顔絵を描きにいくよ プレゼントするよ」「ウンきっと来てよ」 夕焼け雲に赤く染まった彼らの笑顔に私の心はほのぼのと癒されていくのでした。

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