題字「星」286

「シューベルトって何か」と子供が聞いた。「31才まで生きて美しい曲を沢山残した人」と私が答えた。
私はあと数年でシューベルトの二倍近い人生を生きたことになるのに、一体何を残せたのだろう。 日頃思っていることが子供の純な問にかきたてられ、悲しみがグッとこみ上げてくる。
「何にも残さなくてよいから90才まで生きてね」子供は笑っていった。
日暮れて道遠し、残せぬ人生の残された月日に呆然とする。
ドイツリートも好きですが私が音楽への開眼をはたしたのは初めて聞いたバイオリンでした。 世の中にこんなに良い音があるものかと、魂が横転した。 ついでに言えば体も横転したままのような私の人生にバイオリンは計りきれない役目というか大きな功績を残してくれました。
音のリハビリボランティアで、弦楽器による精神的ほのぼのは最高の癒しです。 「クラシックも良いけれど眠くなりましてネー」 多くの人の言葉です。
かくさずに正直に白状しますと、私がクラシック音楽に感動できたのは私の人生がクラシックより退屈だったから、この一言につきるのですが・・・ でもチェロにバイオリンにビオラにコントラバスは恋するに十分の音色です。

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