題字「星」301

30年間も児童画の指導を続けている私は時に母親の役目もはたし、気持ちもねれて半分は女性の気質です。成長した息子は親と口をきかない年齢にさしかかった。私は真夜中、フトンをはがした息子にフトンをかぶせつつ、寒くないか、暑くないかと話しかける。
顔も心もすっかり素直になって息子は心よく返事をする。この場合も、私の女性化を認めるのです。ほのぼのを求めていると、母と子の会話も耳に残ります。 よく遊んだねー、お母さんうれしいわ。 よく眠ったねー、お母さんうれしいわ。 よく食べたね、お母さんうれしいわ。
最も大切な赤ちゃん時代、澄み切ったこの子の瞳には、母親の言葉と、この世界がさぞかし美しく響き美しく映ったことかとうれしく思いました。
お母さんうれしいわ。つけたしたこの一言の新鮮なこと・・・新鮮な美しさを色あせることなく持ち続ける眼と心が後に芸術を開花させるのかもしれないと、童画風のピカソの絵を鑑賞したら実は先日思ったのです。誕生して年月の経過が浅い内はこの世が輝いて見えた、私の貴重な体験です。
ピカソはこの輝いた目で世界を見ている。現在の私の得がたい?体験?です。

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