題字「星」302

「この頃、歯に水がしみまして・・・。数本の針を一度にさしたように強くしみましてね。」
歯医者は自信にみちた笑顔でいいました。
「歯がすっかり磨耗していますね。きっと歯をくいしばる人生だったんですね。」
一級障害者の日常は穴に落ちた虫ケラに似て「穴からはい出ようと、歯をくいしばって、いく度も地上のたかみに挑戦しますから・・・。」
すべって落ちて又、登り、くりかえす内に闘争心が芽ばえ、やがて闘争心に火がつき、真っ赤にもえあがり、おかげさまでその後は、命もえたたせ、かきたたせて生きることが信条となりまして・・・。昨日も今日もランランと燃えていますよ。
腕力がないから、ケンカ不能で、それでも自立に憧れ、「必ず人並みに」の思いは、意志の力もはぐくみました。おろかこの上ない性格の持ち主ですが、闘争心と意志の力、この2つは身障ゆえの特権なんだと信じています。

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