題字「星」303

和鋏を使って、手のヒラに豆をつくって、幻灯器を幾台となくつくり、台の上に並べてコレクションするのが子供の頃の私の趣味でした。
飴の包装紙に描かれた浮世ばなれのキャラクター、壁に映したその顔は包装紙の皺かげんでのびたりちじんだり、福笑いの様相でした。
絵描きの仕事がえらく難しい作業だと勝手に自覚して、絵描とよばれる人種をこの上なく尊敬しておりました。
絵描きの前に出ると恋人に会ったようにドキッとして顔はひきつり、かたまるばかり・・
それから50年、私はやっと、対等の立場で町で先生とよばれる画家様?の家を訪問できるようになりました。
先日も、有名先生の家の前で私と子供達が並び焼酎漬の梅をご馳走になりました。日射の中でアンズを想わせる梅の皮が光ってタネが焼けた舗道にコロコロころがり気になると、子供が下水の穴に落としてくれました。
ささやかな喜び・・・私はこんなに無邪気です。

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