題字「星」324

東京から訪れた姉、弟の親しい客人からほほえましい話しを聞き、私の胸がきゅんとなりました。
「中学生のとき、智恵子抄を買ったんですョ、それを見て姉が笑ってひやかしたんです。それから暫く僕のあだ名は智恵子抄だったんです。本当にひどい話だと思いませんか。」
文学少年が真っ先に智恵子抄を買う気持ちも良くわかるし、それを冷やかす姉の気持ちもよくわかります。実は私にもよく似た思い出があるのです。
今は亡き私の兄も文学少年で中学時代2年生の折、小遣いをはたいて買ってきた本がなんと、万葉集でありました.我が家では万葉集を冷やかす才知ある人はおりませんでしたが・・・
B6版の辞書に似たこの本を水平にテーブルに立てて、黒光りする表紙を左右に開き、「こうすると装帳が痛まないのさ。」手伝う私に向かって言った兄の声が今でも耳に残っています。最初に求めた本が万葉集とは、やはり〇〇ですよね・・・

戻る 花の罫線 ホーム