題字「星」330

抜こうかな。手に握った雑草の可憐な花に天使はためらう。
パウル、クレーの描いた簡素で愛らしい天使の素描に私は花を添えたり、鳥をはばたかせたり、光った星を持たせて、楽しみます。
ある洋画展の会場で100号、200号の作品を鑑賞し、だいぶ疲れ、会場の隅の売店に息抜きで寄ったところ、壁かけとして売っていたクレーの天使。
驚き、100号の大作より、このささやかな小品の方が、芸術のオーラに富み、深い慰めにみちていることを知らされ・・・、アー絵とは何にかと、改めて教えられるのです。
展覧会場を出て、外の自然にふれ、美しい・・・と、なぜかホッとするおろかな私。
肩をいからせて描いたのでなく、吐息のように自然体で描かれたクレーの天使には、このホッがあるのだと思いました。
音楽家になろうか、それとも画家にと迷ったクレーの絵は、音を色に変て、油絵の場合も詩情と慰めにとみ、絵具の量と力だけでは、優れた作品にならないことを、知らせてくれるのです。クレーの絵は小品ばかりです。

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