題字「星」334

小春日和のある日の午後、私をリヤカーに乗せ、6、7才の子供たちが一団となって、竹屋さん目指して、急いだ急いだ。リヤカーの上で気恥ずかしく人の気配を気にしつつ采配をふるうのは11才ほどの私です。今日、やっと訪れたまたとないチャンス、この機会を逃したら竹屋さんに行ける日など永遠に巡ってこない。夢にまで見た竹屋だし、やっと数ヶ月ぶりに念願の遠出が出来たのだから。人の視線など気にせず、この瞬間を思いきり楽しんで景色も空気も味わい尽くさねば、と。思えば思うほど身心はかたくこわばる。凧を作ってあげると幼い子供たちをおだて上げてリヤカーの荷台の上は50年近く前の私の姿です。何かを待ちつづける思いで富士川堤に座りつづけて待っても待っても訪れる物とてなく、同年配の子が寄ってくれることを祈って凧を作りつづけたものです。夏場の無風の中で恥ずかしさで真っ赤のだ。苦笑を噛みつぶす冬以外の季節でした。やっと竹屋につくやいなや,、親父さんの怒声、小さな子に押させておまえが乗っていいと思うのか!今なき凧作りに必要だった店。竹屋さんに怒られた貴重な思いでです。

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