題字「星」335

私が子供たちのスケッチを始めたのは、昭和48年頃からと記憶する。未就学の私は子供同志で飛びまわり、水とたわむれ、砂と遊ぶという経験が皆無でした。初めて小学校の校庭に車椅子で訪れた日の感動はわすれられない。
人類広しといえど、校庭で感動で震えたのは私ぐらいなものだ。身心ともに身動きできず拘束されたような私の子供時代と正反対の成人しても尚、憧れ求めていた世界が眼前に展開していたのです。雪に閉ざされた子が待ち望んでいた春を迎え、野原に駆け出し、鳥の囀りと満開の花々に目を見張ったことと似ています。
かつて体験した事のない世界の何と爽やかで明るく燦々とはつらつと輝きわたってまぶしく思えた事か。
駆け回る子供の姿は生命の発露に見えて魅惑的で宝石箱の赤や青の宝石をパッと散らしたようで、太陽に似て私の心を暖める。充たされなかった穴埋めのようにこの日からスケッチが始まった。子供たちの山のような笑顔をどこかで出版してくれないものか、私の強い長年にわたる密かな願望です。

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